どうも、ともです。
公害防止管理者の資格を取得したいけど、
・公害防止管理者のテストってどんな感じなの?
・公害防止管理資格者の受験勉強はどのように進めればいいの?
悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
私も、仕事で公害防止管理者の資格が必要になるまでは、公害防止管理者についてよく知りませんでした。
そこで今回は、
2.公害防止管理者の試験の概要を知りたい人
3.公害防止管理者(水質)のオススメの勉強法・参考書を知りたい人
といった観点で、公害防止管理者の資格に合格するまでの道のりについてまとめていきたいと思います。
公害防止管理者の概要について
まず、公害防止管理者がどのような資格なのか、下記の観点でまとめていきます。
・公害防止管理者のニーズ
・公害防止管理者の主な受験者
・公害防止管理者の資格取得難易度
公害防止管理者の役割
公害防止管理者とは、工場からの排水および排ガス等による公害の発生を防止する公害防止組織の一員の位置づけです。
公害防止組織の概要について、管轄団体である一般社団法人産業環境管理協会には、下記の通り記載があります。
法律が定める公害防止組織は、基本的には「一定規模以上の特定工場」と「その他の特定工場」に大別され、次の三つの職種で構成されます。
(1)公害防止統括者
工場の公害防止に関する業務を統括・管理する役割を担います。工場長等の職責にある方が適任で、資格は不要です。(2)公害防止主任管理者
公害防止統括者を補佐し、公害防止管理者を指揮する役割を担います。部長又は課長の職責にある方が想定され、資格を必要とします。(3)公害防止管理者
引用元:一般社団法人産業環境管理協会資格制度の概要の概要より
公害発生施設又は公害防止施設の運転、維持、管理、燃料、原材料の検査等を行う役割を担います。施設の直接の責任者の方が想定され、資格を必要とします。
公害防止管理者に関して、簡単に言い換えると、工場からの排水および排ガス等による公害の発生を防止するための知識を持っている人を指します。
公害防止管理者には、排水や排ガスなどその対象によって、13種類の分類があります。
今回は特に水質1種に合格するまでを例にして、まとめていきます。
公害防止管理者のニーズ
公害防止管理者は、一定の規模以上の事業所には、必ず設置することが、法律で義務つけられています。
そのため、有資格者のニーズが今後失われることは少ないと思われます。
一方で、現状、公害防止管理者が必要な事業所には、すでに配置されていることも多く、資格を持っているだけで、転職に有利になることは少ないと思われます。
公害防止管理者の資格が転職や就職にどのように役立つかは、こちらにまとめていますので、よろしければ参照ください。
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公害防止管理者(水質1種)の主な受験者
私の主観ですが、受験者の多くを占めているのは、20代後半から~30代後半にかけての人が多い印象です。
その理由としては、今後、事業所等にて公害防止の実務を担当する人達が資格取得に努めているためと思われます。
また、昨今はSDGsの観点が非常に重要になってきているため、環境保護の知識を身に着けるために、受験している方も多くなってきています。
公害防止管理者(水質1種)の難易度について
以下の表に、2016年~2023年までの8年分の受験者と合格者数をまとめます。
免除申請あり・なしの違いは科目別合格制度に関連するものですので、後でまとめます。
2016年~2023年の間の合格率はおおむね30%前後で推移しています。
このことから、難易度は格段高い試験ではないですが、試験直前の学習のみで合格できる試験ではないことが分かるかと思います。
公害防止管理者の試験の難易度に関しては、こちらにまとめていますので、よろしければ参照ください。
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公害防止管理者の受験の準備
試験の申込について
下記に、試験の申込~合格発表までのスケジュールの概要をまとめます。
年度により、多少前後することがありますので、あくまで参考レベルとしてください。
その年の試験日等は、およそ4月頃に発表されることが多いみたいです。
試験に必要な準備物
試験の際に、持ち込みが可能なものは、下記の通りです。
・受験票
・文房具(えんぴつ、シャープペンシル)
・時計(スマートウォッチ等を除く)
・電卓(四則演算機能のみ、関数電卓は持ち込み不可)
この中で、
その理由は、使い慣れていない電卓で試験に臨むと、余計な不安要素を残してしまうからです。
おすすめ参考書・問題集
私が使った参考書は下記の通りです。
・2024-2025年版 公害防止管理者試験 水質関係 攻略問題集
・2018~2022年度公害防止管理者等国家試験 正解とヒント 水質関係
上記の参考書および問題集の詳細や使ってみた感想は下記の通りです。
基本的に中身の構成は同じでしたが、法改正に対応していたり、問題の傾向に変更に伴う中身に改定が行われていました。
・ひとりで学べる公害防止管理者試験(水質関係)テキスト&問題集
私が受験した際は、参考書は上記のものを使用しました。
中身としては、試験に出てくるところのみを抜粋して構成されています。
そのため、とにかく試験に合格するための知識を身に着けたいという方におすすめです。
一方で、公害防止の実務についての勉強を行いたい方にとっては、少し物足りない内容かと思います。
・2024-2025年版 公害防止管理者試験 水質関係 攻略問題集
この問題集は過去6年分の問題が、単元ごとに分類されている問題集になります。
具体的な使い方としては、隙間時間に繰り返し学習を行う際に非常に有効です。
そのため、電車やちょっとした休憩時間などに、繰り返し勉強したい方にとっておすすめの問題集です。
一方で、勉強時間をまとまってとって一気に行う方にとってはあまりおすすめできません。
・2018~2022年度公害防止管理者等国家試験 正解とヒント 水質関係
公害防止管理者水質関係の問題集は多くありますが、お気に入りの出版社等が特にない場合は、こちらの問題集の購入をおすすめします。
この本は、公害防止管理者試験を実施している産業環境管理協会が発行している問題集です。
つまり、公式の問題集ということです。
その理由は、問題に対しての解説が他の問題集と比較して、かなり詳しく記載されているためです。
予備知識が少しある方はこの問題集をやりこめば、この問題集のみで合格することも難しくないと思います。
ただし、他の問題集と比べてすこし価格が高いため、あまり費用をかけたくない方にとってはおすすめできません。
※各参考書と問題集は、問題の傾向を分析し、定期的に改訂しています。
最新のおすすめ参考書および問題集はこちらにまとめています。
資格取得のための勉強について
試験科目について
公害防止管理者試験(水質1種)は、5つの科目があり、全科目60%以上の正答率で合格になります。
試験科目は下記の通りです。
1.公害総論
2.水質概論
3.汚水処理特論
4.水質有害物質特論
5.大規模水質特論
各科目の概要について、下記にまとめていきます。
各科目の特徴をご覧になって、独学で試験対策ができるか不安になった方は、オンラインの受験対策講座について、こちらにまとめていますので、よろしければ参照ください。
公害総論について
公害総論の概要は下記の通りです。
・試験問題数:15問
・合格に必要な正解数:9問以上
・試験内容:環境基本法および環境関連法の条文の正誤問題および過去の公害問題についての知識
法律に関する問題に関しては、過去問の内容が出題されることが多いため、過去問を繰り返して行うことで対策を行うことができます。
一方で、公害問題に関しては、時事問題等からも出題されることが多く、試験の前には、環境問題に関するニュース等のチェックも場合により必要になります。
水質概論について
水質概論の概要は下記の通りです。
・試験問題数:10問
・合格に必要な正解数:6問以上
・試験内容:水質汚濁防止法の条文の正誤問題および水質汚濁がおよぼす影響についての知識
水質汚濁防止法に関する問題に関しては、過去問の内容を理解することが近道になります。試験本番で初見の問題に遭遇しても、過去問の内容から関連付けて正解を導き出すことができます。
また、水質汚濁がおよぼす影響に関しては、過去問の内容を網羅しておけば、ほとんどの問題に対応できると思われます。
しかし、問題数が少ないため、一問あたりの重みが大きいため、ケアレスミスなどに十分勉強する必要があります。
汚水処理特論について
汚水処理特論の概要は下記の通りです。
・試験問題数:25問
・合格に必要な正解数:15問以上
・試験内容:汚水の処理方法および水質汚濁物質の測定技術についての知識
汚水の処理方法に関しては、物理化学処理と生物処理から出題されます。
物理化学処理とは、汚濁物質をろ過や吸着といった物理化学的な観点で処理を行う方法です。
生物処理は、汚濁物質を微生物が分解することを利用した手法です。
どちらも大部分は知識が問われる問題ですが、一部、計算問題が出題されます。
この計算問題の一部が、水質概論で出題されることがあります。
水質汚濁物質の測定技術については、暗記量が比較的多いですが、出題傾向は似ているため、過去問を2周程度行えば、対策はできると思います。
また、測定手法については、水質有害物質特論と一部重複している箇所があります。
問題数が多いため、数問分からない問題があっても、比較的合格を狙いやすい科目になります。
水質有害物質特論について
水質有害物質特論の概要は下記の通りです。
・試験問題数:15問
・合格に必要な正解数:9問以上
・試験内容:生物におよぼす危険物質の処理方法および分析方法についての知識
この科目に関しては過去問のやりこみだけでは、合格することは非常に難しくなります。
危険物質の処理方法に関しては、過去問で一通り勉強すると、ある程度解けるようになります。
一方で、分析方法に関しては、参考書の内容を「なぜそのようにするのか?」仕組みまで、正しく理解していないと、正解することは困難になります。
また、この科目では、初見の問題は、正解にたどり着くことが困難です。
そのため、全5科目の中でも、非常に勉強時間がかかります。
以上のことから、1年目に合格を目指しました。
(落ちてもあと2回チャンスがあるため。)
大規模水質特論について
大規模水質特論の概要は下記の通りです。
・試験問題数:10問
・合格に必要な正解数:6問以上
・試験内容:エスチャリ(閉鎖性水域)での、排水の拡散および大規模事業所(鉄鋼業、石油精製業)での排水処理についての知識
1種の合格に必要な5科目の中では、一番学習しやすい内容だと思われます。
その理由は、覚える内容も比較的少なく、出題も過去問と類似した内容であるからです。
そのため、過去問を2周程度すれば、高い確率で合格を狙うことができます。
また、エスチャリ(閉鎖性水域)に関する問題が、水質概論と一部重複している箇所があります。
一方で、出題数が少ないため、一問あたりの重みが大きくなるので、ケアレスミスなどに十分注意が必要になります。
必要な勉強時間
まず、予備知識がある場合の、勉強時間の目安は下記の通りです。
次に、予備知識がない場合の、勉強時間の目安は下記の通りです。
水質1種に合格するためには、各科目合計で、100~200時間の勉強時間が必要と言われています。
おすすめ勉強方法
私は、1年目に勉強開始時期が遅かったため、2か年計画で合格を目指すことにしました。
2年かけて水質1種に合格を目指している社会人の方に、おすすめする科目ごとに勉強する順番は下記の通りです。
2年目 「公害総論」→「水質概論」
具体的な勉強方法は、テキストを一通り読んだ後に、問題集に取り組むといった基本的なものです。
問題集は各科目ごとに、2周程度行えば、ある程度の知識を習得することができます。
基本的に、自分の分かりやすい順番に勉強するのが一番ですが、「水質概論」は最後に勉強することをおすすめします。
水質概論は、その他の科目の知識が問われる問題もあるので、他の科目を勉強してからの方が、スムーズに勉強を進めることができます。
公害防止管理者試験を攻略するための方法は、こちらにより詳しくまとめていますので、よろしければ参照ください。
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試験勉強スケジュールについて
上記の1年目に「汚水処理特論」、「水質有害物質特論」、「大規模水質特論」の合格を目指し、2年目に、「公害総論」、「水質概論」の合格を目指す試験スケジュールにした理由は大きく3つあります。
1.公害総論、水質概論は、ある程度暗記すれば、高い合格率を狙えるため。
2.水質概論の中に、汚水処理特論、水質有害物質特論、大規模水質特論で勉強した内容が含まれているため。
3.水質有害物質特論は、初見の問題に対応するには、かなりの知識量が求められるため、早いうちに合格したほうが良いため。
上記のスケジュールは、資格取得を最短で狙うために、会社の先輩の有資格者に相談し、教えてもらったものになります。
私も、実際に勉強をしてみた結果、上記のスケジュールが個人的に一番良いと感じました。
この勉強スケジュールは、公害防止管理者の科目別合格制度を利用した方法です。
科目別合格制度について、次に説明していきます。
科目別合格制度について
公害防止管理者試験には、科目別合格制度があります。
これは、過去2年間に合格している科目は、受験が免除になる制度です。
各科目ごと3年間に1回合格すれば、公害防止管理者の資格を取得することができます。
2021年度に水質1種を受験することを例に、図にまとめます。
上記の表では、2021年度は、大規模水質特論のみ受験し、合格すれば、資格を取得することができることを表しています。
仕事をしながらの受験になることが多い社会人では、この制度を有効的に利用することが合格のカギになってきます。
実際、私は2年間かけて資格の取得を行いました。
科目別合格制度を利用した公害防止管理者試験の対策法に関しては、こちらにまとめていますので、よろしければ参照ください。
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また、3年間で資格取得をすることが難しいと感じる方には、区分合格を利用した方法もあるので紹介します。
区分合格を利用した方法
まず、公害防止管理者試験の水質部門には1~4種の区分があります。
その各区分ごとの、合格を組み合わせて、最終的に水質1種の資格を取得するものです。
以下に、各区分ごとの受験必要科目をまとめます。
例えば、3か年かけて、4種の資格に合格するとします。
翌年以降に1種の試験に申込み、3か年で、「水質有害物質特論」、「大規模水質特論」の二つに合格すれば、1種の資格を取得することができます。
この方法のメリットは、科目別合格制度とは異なり、4種の試験科目に関しては、3年間の期限がなくなることです。
(ただし、2~4種をそれぞれ合格しても、自動的に1種の合格にはならす、1種の受験の申請が必要です。)
受験した感想
実際に受験した結果をまとめていきます。
当日のタイムスケジュール
当日のタイムスケジュールの一例を示します。
全科目を受験するとなると、朝から夕方までの体力勝負になります。
水質概論と汚水処理特論の間に昼休みがありますが、会場周囲のコンビニ等は非常に混雑しています。
そのため簡単な軽食を事前に準備したほうが良いと感じました。
受験結果
私は、2年間で資格に合格できるようにスケジュールをしました。
各年度の結果を下記にまとめます。
事前にスケジュールした通り、1年目に「汚水処理特論」、「水質有害物質特論」、「大規模水質特論」の合格を目指し、2年目に、「公害総論」、「水質概論」の合格を目指しました。
しかし、1年目に「水質有害物質特論」を落としてしまいました。
落とした理由は、測定手法に関する初見の問題に対応できなかったためです。
それ以外は、事前のスケジュール通りに合格することができました。
まとめ
今回は、公害防止管理者試験(水質1種)に合格するまでの過程をまとめてきました。
1.公害防止管理者は法律で設置が義務つけられており、ニーズの高い資格である。
2.水質1種の試験は5科目あり、科目別合格制度がある。
3.科目ごとのおすすめの勉強順は、「水質有害物質特論」→「汚水処理特論」→「大規模水質特論」→「公害総論」→「水質概論」
皆さんの、公害防止管理者資格取得の参考になれば幸いです